2025年11月例会 JIA渋谷まち歩きトレッキング in千駄ヶ谷~渋谷
- 日程
- 2025.11.23
- 時間
- 13:00~
2025年11月、JIA渋谷主催のまち歩きトレッキングに参加しました。
今回のテーマは~渋谷マークシティ 過去から未来へ再生 変わり続けるまち~と称し、国立競技場からスタートし、北参道・神宮前エリアを通り渋谷マークシティまで様々な建築を観ながら街歩きました。

ダガヤ参道(千駄ヶ谷~北参道あたりのエリアの総称)付近の緑深く清々しい雰囲気を感じながら、原宿・神宮前などファッションやストリート系カルチャーと建築の共存を肌で感じながら、再生建築や宇田川町、深く歴史のある円山町まで向かい多くの建築を観て学ぶことができました。
今回の街歩きルートは、現在ほぼ暗渠化されている渋谷川の上流に位置する千駄ヶ谷からゴールである渋谷まで、谷から谷を結ぶように起伏の少ない平坦の道を練り歩きました。また上のマップをみてわかるように、主要な道を一直線に進むのではなく、人通りが多くない道などを意図的に歩き、周辺の街の雰囲気や生活感も感じながら歩きました。
その中で印象に残った建築物を紹介いたします。
千駄ヶ谷の街について

渋谷区の北東部に位置し、これから紹介する国立競技場や、鳩森八幡神社(写真:左)などの文化施設も多く見られる街である。
現在は大学や競技場、公園などが点在しているが、1960年代前半までは東京都内でも有数の温泉マーク街(風営法で規定された街)であった。1957年に近隣地区と共に文教地区として指定を受け現在は風俗営業法に準拠する同様の施設はみられなくなった。
国立競技場

2020年の東京オリンピックのために建て替えられた国立競技場。最大高さが47.4mと比較的低く、周囲の建築物との水平ラインを保っている。木材ルーバーが象徴的であるが、実際に近くでみると頂部の庇がアルミの木目調ルーバーであることが分かった。また、タイミングよく国立競技場でイベントが行われており、中にはいることができた。中に入るとより建物の大きさが実感でき、圧倒された。
2019年竣工 設計:隈研吾
三井ガーデンホテル 神宮外苑の杜プレミア

国立競技場に隣接して建てられたホテル。バルコニーでは壁面・軒天に国立競技場と同様に木が使用されている。近くで見ると木の色や板幅も数種類使われており、パターン化されない自然な雰囲気を感じられた。僅かに両端が湾曲しており国立競技場の楕円形も相まって競技場を包み受け入れるような外観であると感じた。
2019年竣工 設計:清水建設
外苑アイススケート場

東京五輪関連施設として箭内プールと併用する形で建設され、昭和期のスポーツ建築の姿を残す貴重な構造でした。
現在はスケート場のみの施設として使われています。2018年12月25日には、バリアフリー化や自動ゲートの導入、リサイクルガラスを前面に施して氷面を思わせるファサードが特徴的な建築外観へのリニューアルが行われています。入口からある床タイルにアイススケート跡を残したのがみられる。
写真右で使用されているカーブのかかったタイルは施工時に現場で加工をするものと工場で加工したものがある。
日建建設2018年再生・リノベ改修
ARCA

小規模オフィスが集積したエリアにあるシェアオフィス。外観は大小さまざまな大きさの窓が無数に設けられている。窓枠、把手を見せないようにステンレスのパネルのようなものが点在しており設計者の意図が感じ取れた。
2009年竣工 設計:北川原温建築都市研究所
千駄ヶ谷駅前公衆便所

コンクリートの箱という重厚感のあるものが、浮いているように見えることで生まれる“矛盾感”がこの建築の魅力と感じる。
足元にはライン照明を設け、地面と建物下端の境界をあやふやにすることで浮遊感を強調している。

また内部は公衆トイレとは思えないほどの高い天井で解放感がある。トップライトを設けることで、暗くなりがちな公衆トイレの明るさを確保しており安全面への配慮も感じられた。
2020年 SUPPOSE DESIGN OFFICE
kurumi build.

左下)階段形状 ササラも小さくすっきりしている階段 右下)階段形状を引きで移した写真

前面道路から見えるファサードには窓が一つもなく、洗い出し仕上げによるザラついた表面が、周囲に突然現れた巨大な石の塊のような印象を与えていた。その“石”に巻き付くように上階へと伸びる外階段は、ファサードデザインにおける良いアクセントとして機能していると感じた。また、建物は長方形ではなく植栽側が斜めにカットされたような形状になっているため、角が柔らかく取られており、存在感は強いものの圧迫感は意外と少ないファサードになっていると感じた。
2021年11月竣工 設計:マウントフジアーキテクツスタジオ
ビラ・ビアンカVilla Bianca

明治神宮前駅周辺の明治通りを歩くとみられる都市居住型の集合住宅ビラ・ビアンカ、SRC構造地上8階地下2階
半世紀前に建てられた集合住宅の先駆的なビラシリーズの作品である。薪を積み上げたような外観は、当時のメタボリズムの影響を受けているようですが、 陰影が濃いくぼんだ部分はバルコニー、外まで突き出た見る当時流行したコンクリートによる日本伝統家具式木造構造の表現のように見える。
堀田英二設計1964年
都立代々木パーク(BE STAGE)

色温度の低い照明に照らされた木目調のルーバーが利用者を迎え入れてくれる、そんな温かい建築に感じた。また木目調ルーバーと階段の縦格子の手摺がテクスチャーは違えどデザインの統一感から、ひとつの建築としてのまとまりが感じられた。
2025年竣工 設計:東急不動産
神南1丁目オフィスビル再生計画(トップヒル神南ビル)

既存建物を残し、その上に新たな仕上げを施しているデザイン。新たな仕上げが既存の建物から離れていることで、外から見るとサッシ部分が奥まっているデザインになっている。一階から上を覗けば最上階の天井が見えるという面白い建築。
仕上げ面の底に照明が照らされており、良い雰囲気がでている。建築の新しい発想を感じた。
2020年竣工 設計:再生建築研究所




JIA SHIBUYA